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新しい「学習指導要領」はどうなる?
2025年9月5日、文部科学省の諮問機関である中央教育審議会(中教審)の部会が、次期学習指導要領の方向性(論点整理案)を公表しました。これは、2030年度以降に導入される新しい教育課程設計に向けた議論の出発点となるものです。
◆ 改訂の基本方針(3つの柱)
今回の改訂では、以下の3点を軸として教育課程の見直しが検討されています。
1. 「主体的・対話的で深い学び」の実装
現行学習指導要領が目指している、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を通じた資質・能力の育成について、一層の具現化・深化を図る。
2. 多様性の包摂
多様な個性や特性、背景を有する子供が多くなっている実態に向き合うとともに、こうした多様性を個人及び社会の力に変える観点から、一人一人の意欲が高まり、可能性が開花し、個性が輝く教育の実現を目指す。
3. 実現可能性の確保
教育課程の実施に伴い教師に過度な負担・負担感が生じにくい、持続可能なあり方を追求し、教師と子供の双方に「余白」を創出することで、豊かな学びに繋げる方向を踏まえた検討を行う。
◆ 具体的な改革の方向性
改革の方向性として以下のような具体的内容が示されました。
授業時数の柔軟化
教科ごとの授業時間数について、一定の範囲で各学校が調整可能とする「調整授業時数制度(仮称)」導入の検討。標準授業時数から特定教科の授業をある程度削減できるようにして、削減できた時間を、他の教科へ上乗せ、あるいは、補習や個別指導などに振り向ける「裁量時間」を設ける。教科の時間配分を学校毎に調整可能とすることで、「学校の裁量」を拡大し、多様な子どもへの対応や、各学校の事情を反映した教育をしやすくする。
新教科の設置
中学校に「情報・技術科(仮称)」を新設し、生成AI、プログラミング、情報セキュリティなどを含めた情報教育を強化する。小学校においても「総合的な学習の時間」の中に「情報の領域(仮称)」を付加し、段階的・系統的に情報活用能力を育成する。
カリキュラムの「余白」確保
教科学習以外に、補充学習や個別対応、探究学習、教員研修などに時間を充てられるよう、カリキュラムに余裕を持たせる設計への見直し。
学習評価の改善
「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう姿勢」などの評価観点をどう評価に反映させるかをより具体的に検討する。
新しい指導要領については、最終答申が2026年度中にまとめられる見込みで、2030年度以降、小学校から、中学校、高等学校と段階的に導入される予定です。
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