科学的に考える習慣

 今から17年ほど前に「所沢ダイオキシン騒動」というものがありました。十年一昔といいますから、二昔も前という感じですか。生徒さんの多くは生まれる前ですね。


「ニュースステーション」という報道番組が所沢周辺の葉物野菜のダイオキシン濃度が全国的なデータをかなり上回るという報道を流したため、所沢周辺の野菜の価格が暴落しました。報道では多くの産廃業者が農地近隣でゴミの焼却をしており、それがダイオキシンを発生させている原因ではないかという疑惑が提示されていました。それに対して、JA所沢の376名の組合員がテレビ朝日を相手取り損害賠償の民事訴訟を提訴しました。結果は5年後、東京地裁でテレビ局側の和解金支払いで和解が成立しました。


 この問題には、当初の報道の正確さや科学的根拠、報道規制と報道のあり方、環境問題と多量のゴミを出す市民の生活スタイルの問題などいろいろ大事なテーマが伏在していました。しかし、ここではそれはさておき、ダイオキシン自体について少し考えてみます。


 こうした問題が起こると、客観的な事実を科学的に検証することなく、やたらと騒ぎ立てるのがマスコミで、一部の市民にもそういう人がいます。今回の原発騒動でもいろいろありました。中高生はダイオキシンがどういう物質か調べてみるといいでしょう。


 手元に池田清彦氏の「環境問題のウソ」という本があります。この中にダイオキシンについてふれている箇所があり勉強になります。いろいろな論点がありますが、統計学的な基礎知識と科学的な単位の基礎知識がないとすぐ騙されてしまうこともよくわかります。


 ダイオキシンは猛毒ですが微量ならばまったく問題はないわけです。われわれは1回の呼吸毎に1億個のダイオキシンを吸っているそうだがこれなどはまったく問題外の微量です。これも化学の基礎知識がないと理解しがたいわけですね。「所沢ダイオキシン騒動」でホウレンソウの高濃度と騒いだダイオキシン濃度は0.75ピコg/g。ピコgは1gの1兆分の1です。これほど極小単位を計測する機器があることに驚きますが。


 半致死量という数値があります。動物が体重kgあたりどれくらい摂取したら二匹に一匹が死ぬかの量です。これを人間に当てはめるとダイオキシンに最も弱いモルモットの半致死量に達するには40トンのホウレンソウを食べなければならいとなります。そもそも人体自体のダイオキシン平均濃度が4~6ピコg/gということですから、食べるホウレンソウよりそもそも我々の肉体の方が高い濃度なわけです。


 我々の身体に入ってきているダイオキシンが何に由来するかは、十分な科学的検証を受けていません。しかし、1975年から2000年までの間。ゴミ焼却によるダイオキシン発生量が3倍ほど増加しているのに、日本人のダイオキシン一日当たり摂取量は1/3ほどになっています。(環境省、厚生省調査)つまり半減以上減っている。ゴミ焼却はあまり関係ないわけですね。実は、それは農薬が起源になっていることがほぼ証明されています。規制があまりかかっていない1960年代に日本で大量に撒かれた農薬に含まれていたダイオキシンの総量はベトナム戦争で撒かれた枯れ葉剤のダイオキシン総量の倍はあるそうです。


 放射能もダイオキシンも危険性が大きいわけですが、科学的に冷静に考えて効果的な対応策を考える努力は大切ですね。理科や化学の勉強は現代においては、だから実は、滅茶苦茶大切なのです。

 

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