学習塾ブログ / 桜がいっせいに散ってしまうのはなぜ?

2024年04月18日

桜がいっせいに散ってしまうのはなぜ?

みなさん、こんにちは!
進級・進学おめでとうございます。
今年は桜の開花が遅く、入学式や始業式まで綺麗に咲いていたのではないでしょうか。
最近は4月を待たず散ってしまうことが多かったので、ラッキーな1年になりそうですね!

ご存知の通り、桜は古くから人々に愛でられてきました。
最古の勅撰和歌集(天皇の命令でつくられた和歌集)である「古今和歌集」には、桜を詠んだ和歌が約70首も収録されています。
わたしが一番好きな桜の和歌は、在原業平による

世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし

(桜はすぐに散ってしまうのが切ない。
いっそのこと、もしこの世の中に桜というものがなかったら、
春を過ごすわたしたちの心はずっとのどかだろうに)

という和歌です。高校生のみなさんなら知っているでしょうか。
当時の桜は、今のわたしたちに馴染みのあるソメイヨシノよりも開花時期がバラバラだったと考えられています。
よって今のわたしたちよりも長い期間桜を楽しむことができたのではないかと思いますが、それでもこの切実さです。桜が本当に愛されていたことが伝わってきますよね。

それにしても、現代のわたしたちがよく目にする桜であるソメイヨシノという品種は、とにかく早く、いっせいに散ってしまいます。なぜだか知っていますか?

ソメイヨシノは、江戸時代末期に生まれました。葉より花が先に咲くエドヒガンという種類の桜と、大きな花をつけるオオシマザクラという種類の桜をかけあわせてつくられたものです。2種類の桜の良さを取り入れた、ハイブリッドな桜というわけです。
その後、この素晴らしい桜の特徴をそのまま生かすため、「接ぎ木」という技術で全国に植えられてゆきました。ソメイヨシノに近い種類の桜の幹を切って、そこへソメイヨシノの枝をさし、このソメイヨシノの枝を成長させ、1本のソメイヨシノの木にするのです。
このとき、枝を切られたソメイヨシノの本体の木と、切られた枝だったものが成長したソメイヨシノの木は、基本的に全く同じ遺伝子を持ちます。このことからソメイヨシノは「クローン」と言われており、全く同じ遺伝子を持つからこそ、気温などの条件がそろったとたんいっせいに開花し、いっせいに散ってしまうのです。

ちなみに、冒頭に紹介した在原業平の和歌には、

散ればこそいとど桜はめでたけれ うき世になにか久しかるべき
(散るからこそ桜は美しい。
 この世に永遠と続くものなんてないのだから)

という返歌があります。
散るからこそ来年の春が一層楽しみになる。
来年の桜も気持ちよく迎えられるよう、この1年も頑張っていきましょう!

東大和・立川教室
能勢