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身についていますか?「勉強法」
「何度もくり返し」は効果的?
新しく学んだことを覚えるための、書いたり、読んだり、声に出したりといったくり返しの学習は、誰もが行っている方法だと思います。そのような反復学習は、ほんとうに効果的な方法なのでしょうか。
これまで行われてきた専門家による研究では、実は、反復学習は成績の向上には関連がないという結果が出されています。
「じゃあ、くり返し練習するなんて意味ないじゃん」と思った方もいるかもしれませんが、そういうわけではありません。ここでいう反復学習は「ただひたすらくり返すだけ」のようなやり方を指しています。こういうやり方ではいくらやってもあまり効果が得られませんが、工夫を加えることで、効果的なものにすることができます。
勉強の「工夫」が効果を発揮する!
反復学習で成果を出すには、工夫が必要です。
反復といっても一度にまとめて練習するのではなく、何回かに分けて練習することで効果を上げることができます。まとめて練習することを集中学習、分けて練習することを分散学習と言います。たとえば、5つの漢字を覚えるのに、いっぺんに20回ずつ(計100回)書いて覚えるより、4日に分けて5回ずつ(計25回ずつ)練習した方が身につきやすくなります。ちなみに、分散学習のタイミングは、短期間で連続的にやるより、時間を空けて忘れかけた頃に行う方が記憶に定着しやすいことがわかっています。
書くのと同時に声に出して覚える方法も有効です。とくに英単語を覚える時は、この方法を活用している人が多いと思いますが、さまざまな研究データからもやはり成績向上につながっているという結果が出ています。
整理して覚えるのも効果的な方法のひとつです。
下にあげる6つのことばを見ないで言えるように短時間で覚えてみてください。
「あじさい、カレーライス、ウグイス、グラタン、オットセイ、パンジー」
ほんの数秒で覚えてしまう人もいるかもしれませんが、一瞬では少し難しそうですね。これを花、料理、動物の順に整理してみたらどうでしょうか。
「あじさい、パンジー、カレーライス、グラタン、ウグイス、オットセイ」
3つの種類に分けるだけでもいくらか覚えやすくなった印象がありませんか。このように同じ種類のもの、共通点のあるもの同士をまとめたり、反対の意味のものをペアにしたり、グループやセットをつくって整理して覚えることも効果的です。
そして、反復学習の効果を上げるために最も重要ともいえる方法が「意味をつけ加える」ということです。たとえば口へんがつく漢字には、口の働きに関するものが多くありますが、口へんに犬で「吠(ほ)える」、それを鳥にすると「鳴く」というように、意味を考えて覚えると忘れにくくなりますね。
同様に算数(数学)や理科の公式が「なぜそうなるのか」、歴史の出来事が「なぜそれが起こったのか」を確かめながら覚えることは、意味を考えずただひたすら覚えることにくらべて、格段に学習効果が上がります。英単語など言葉を覚える時に、その言葉が意味するものを頭に思い浮かべながらイメージと結びつけて覚えることや、用語や歴史の年号などを語呂合わせを使って覚えることも有効な方法です。
勉強は量より質?
勉強は、ただ時間をかけて量だけこなせばいいということではありません。それでは、せっかく努力したことがあまり意味のないものになってしまうかもしれません。しかし、量は必要ないかといえばそうではありません。「量より質」ではなく、「質×量」です。
今回ご紹介した勉強法は、特別なものではなく、だれもが日常的に活用しているものがほとんどでしょう。ただ、これらのちょっとした工夫を意識的に活用しているかどうかで、大きな差がつくことを理解しておきましょう。
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