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海の哺乳類「イルカ」の話
「身近な動物」というと、あなたはどんな動物を連想しますか?
多くの人が、イヌやネコを思い浮かべるでしょうか。サルやチンパンジーなどをあげる人もいるでしょう。彼らは見た目が似ているというだけでなく、その知能の高さも人に近いと感じる点です。知能の高さという点では、イルカもその代表的な動物と言えるでしょう。
イルカは海の生き物?
イルカと人間の共通点と言えば、同じ哺乳類ということ。しかし、海で生活しているという点で私たちとは大きな違いがあります。ところが、かつてはイルカも陸上で生活していたと考えられています。当時は4本足でイヌの様な姿。貝や魚を採って生息していましたが、敵から身を守るために水中の生活に適応し、魚と似たような流線型に変わっていったのです。
変化したのは体のかたちだけではありません。水中で生活するようになったことで、様々な能力を発達させました。
イルカは、超音波を使って物の位置や形を知ることができます。自分が発した音が対象物にぶつかった反響を受け取って、その方向と所要時間をもとに、物の位置などを把握するのです。これは、「エコーロケーション」とか「反響定位(はんきょうていい)」と呼ばれています。光が乏しく見通しの悪い水中では、視覚の働きも制限されます。それを補う役割を聴覚が担っているということです。
イルカには、眠りながら泳ぐという能力もあります。これは、左右の脳を交互に休ませることができるためで、右脳が眠っているときは左目、左脳が眠っているときは右目を閉じます。まるで超人のようなすごい能力ですね。
イルカはやっぱり知能が高い?
イルカというと、「頭がいい動物」というイメージが強いでしょう。イルカは、体全体に対する脳の割合が人間の次に大きい動物です。人と同じように、鏡に映った自身の姿を自分だとわかっている様子が見られるので、少なくとも自己認識があるだろうと推定されています。近年、イルカの脳の中に「スピンドルニューロン」の存在が発見された例がありました。スピンドルニューロンは感情移入、社会的認知など、複雑な認知能力に関連しています。このことからも、かなり高い能力をもっていることは確かですが、現時点ではまだ詳しくはわかっていません。
イルカの高度な社会性
イルカには複雑な社会があります。通常、小さな集団で行動しますが、どの仲間と行動するかが決まっているわけではなく、あるメンバーで行動し、しばらくすると、分かれて別のメンバーを探しに行くという行動を繰り返します。
オスとメスでも異なる傾向がみられます。オスは、子どもの頃からの仲間と生涯にわたって絆を保ち続けるケースが多く見られます。一方、メスはオスに比べて同性間の交流が広いですが、関係性の深さはオスほどではなく、「広く浅く」という傾向があるようです。
イルカの赤ちゃんは母乳を飲んで育てられますが、成長すると自ら餌を捕るようになります。狩りには様々な方法ありますが、習得するのはなかなか難しいことです。その方法を教えるのは主に母親です。母親が子供を連れて狩りに出かける時は、いつもより長く餌(魚)を追いかける様子が見られる場合があります。これは、意識的に子どもたちに狩りの方法を教えているものと考えられます。
狩りを教わるように、イルカは母親の動作をよく見て、それを真似します。また、仲間同士でも「直立する」「深く潜る」といった動きを互いに真似して同期させることがよくあります。その時、互いの胸びれを触れ合わせるという、まるで心を通わせているかのような動作も見られます。
イルカが高度な言語を持っていることは、よく知られています。特徴的なものとしては「シグネチャー・ホイッスル」があります。これは、その個体だけが出す特別な音のことで、いわゆる個人IDのようなものです。お互いに個を識別するために利用されていて、他の仲間たちも、その音を真似して出そうとします。その他にもイルカは多種多様な音を出します。例えば、仲間を呼ぶための音、喜びや怒りを表現する音などがあります。
今後、イルカについての研究が進めば、イルカとの交流を深めることができるようになるかも知れません。イルカの感じていること、見ている世界はどんなものなのでしょう。そこにはきっと、大きな驚きがあることでしょう。
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