学習塾ブログ / 東京防災

2015年10月21日

東京防災

みなさんの家庭にも届いているのではないでしょうか。「東京防災」黄色いハンドブックです。東京都が都内の全世帯に配付しているそうですが、ようやく日本でもこうしたハンドブックが出てきたんだなと感慨があります。
今から40年ほど前。「民間防衛」というスイス政府が全世帯に配付しているハンドブックの日本語訳本が書店においてあったので購入して精読しました。国防のための手引き書ですね。国民が日常から武装しており、飲料水や食料などを全世帯に備蓄することを義務化しいる国は徹底しているなという印象を持ちました。核戦争の際の具体的な注意点。(スイスは現在、全国民を収容できる核シェルターを完備しています)スイスが外国軍に占領された後に、団結して蜂起して外国占領軍を追い出すことまで書いてある。
過去、第二次大戦初期。永世中立国のスイスに対して、ヒトラードイツが国内通過を要求してきました。それに対してスイス政府は、全国民に徹底抗戦を呼びかけ、数十万人の軍事的全国動員をかけて国境を閉鎖しました。アルプス山岳地帯に習熟したスイス軍との壮絶な全面戦争を行う重大な損失には耐えられないと判断したドイツはスイスを迂回しました。スイスの平和を守ったのは紙に書かれた条約ではなく、スイス国民の断固たる決意と軍事動員だったわけです。
地震をはじめ自然災害の多い日本で、こうしたハンドブックはもっと早く出てもよかったかと思います。備蓄すべき物品一覧など災害への備えから、災害時の注意点、実用的な知識やノウハウ。発災時のNG行動や止血法、屋内消火栓の使用法、体温調節の仕方、脱水症状の防止、水道水の保存方法などなど。
とにかく凄く勉強になります。簡易おむつの作り方、単三を単一の大きさにする乾電池の変え方、などなど。災害時の子ども達の心理的なケアのための「子どものあそび」というページまであります。
部分部分はご存じの知識もあるかと思います。しかし、地震や噴火だけでなく、竜巻や集中豪雨など総合的に色々な観点からノウハウが記されていることに意義があると思います。災害対策の教育という点から見ても、高校生はもちろん、小学生や中学生も学習すべき内容が豊富にあります。
ここには「テロ、武力攻撃」「感染症」についても項目が立てられています。「感染症」については少し内容が貧弱でしょうか。Jアラートでは日本への武力攻撃が生じたときには、たとえば弾道ミサイルの飛来に対しては「弾道ミサイルが着弾する可能性がある」という趣旨の放送とサイレンの吹鳴があることになっています。
第二次大戦は実は核戦争でした。その被害国が日本です。「東京防災」には「核爆発や放射能汚染からの避難」という項目もあります。たった5行ですが。福島第一原発事故の後「想定外」はないということも強調されています。このハンドブックは私達の周りには、実は潜在的に「想定」すべきさまざまな危険性が潜んでいることを自覚させてくれます。

【塾長コラム】